「もともと陶芸に惹かれた理由は、土という素材そのものの面白さでした。」
——どんなところに魅力を感じたんですか?
「陶芸は、金属やガラスと並ぶ伝統的なマテリアルですが、その中で唯一、常温で自由に形をつくることができる素材なんです。指先のわずかな力加減やニュアンスまで、そのまま土に残る。その感覚がすごく面白くて。」
——焼き上がるまでの工程にも、陶芸ならではの魅力がありますよね。
「そうですね。焼くことで土や釉薬が化学変化を起こして、思いがけない表情が生まれるんです。自分でコントロールできる部分と、窯に委ねる部分が共存している。ある意味での、その予測のできなさが面白いところだと思います。」
——少し意外ですが、「布を扱うような感覚」と表現されていましたね。
「そうなんです。自分の中では、陶芸はテキスタイルに近い素材という感覚があります。色や質感を重ねながら表情をつくっていくところが、どこか似ている気がしていて。」
——そこから、MONYOらしい表現を探していった。
「『自分にしかできない陶芸って何だろう』と考えたことが始まりでした。大学では窯業を化学的な視点から学んでいたので、その知識を自分の表現に生かしたいと思ったんです。」
——大学での学びは、今も制作の土台になっているんですね。
「すごく生きています。土と釉薬の相性や焼成温度など、大学で学んだ知識が、今の制作のベースになっています。」
——制作を続ける中で、ご自身が特に惹かれているものも見えてきたそうですね。
「はい。作っていくうちに、自分は形よりも、釉薬や色に惹かれていることに気づきました。だから器のフォルムはできるだけシンプルにして、その分、色の表情が引き立つように意識しています。」
——その色は、どうやって生まれているのでしょう。
「同じ色の釉薬をベースにしながら、別の釉薬を重ねて、微妙な色の違いをつくっています。見る角度や光の当たり方によって表情が変わるのも、私の作る陶器ならではの面白さですね。」
——だからこそ、形はあえて主張しすぎないんですね。
「そうですね。面白い形をつくることよりも、長く使ってもらえることを大切にしたいんです。流行に左右されず、何十年後も暮らしの中で自然と使い続けてもらえる器であってほしいと思っています。」
——その"長く使う"という考え方には、ものづくりへの姿勢も表れていますね。
「陶器は、捨ててしまうと産業廃棄物になってしまいます。だからこそ、作る以上はできるだけ長く使っていただけるものを届けたい。アートとしての面白さと、環境への意識。その両方を大切にしながら、これからも制作を続けていきたいと思っています。」